流域治水における「ため池」について

流域治水では、ため池(あるいは複数の池によるため池群)による洪水調節の効果も注目されています。

ため池による洪水調節機能については、農業農村工学的からの研究を中心にいろいろな報告があります。

ところが灯台下暗しで、実は地元の名古屋市は、ため池による洪水調整について、「市をあげて、ため池の公有化を進め、多面的機能を活用したため池の保全を組織的に行って、効果を上げている」(内田、2008)ことを恥ずかしながら知りませんでした。

このことについては、下記の内田さんによる著書に詳しく書かれています。

  • 内田和子:名古屋市におけるため池の保全・活用に関する考察、水利科学 51(6)、 pp.40-59、2008
  • 内田和子:ため池ーその多面的機能と活用ー、農林統計協会、2008

また、名古屋市のような都市域やその周辺地域以外の、いわゆる過疎地域や中山間地域でのため池保全・活用の事例についても、近年の豪雨災害等を受けて事例研究等が推進されつつあります。特に、学際的な研究として、下記の研究グループによる研究成果に注目しています。

  • 木村匡臣・渡部哲史・西原是良・中村晋一郎・乃田啓吾・田中智大・辻岡義康:中山間地域の持続的治水・利水戦略に向けた学際的取組み (小特集 中山間地域の将来を見据えて)、農業農村工学会誌 86(11)、pp.981-984、2018