流域治水における「ため池」について
流域治水では、ため池(あるいは複数の池によるため池群)による洪水調節の効果も注目されています。
ため池による洪水調節機能については、農業農村工学的からの研究を中心にいろいろな報告があります。
ところが灯台下暗しで、実は地元の名古屋市は、ため池による洪水調整について、「市をあげて、ため池の公有化を進め、多面的機能を活用したため池の保全を組織的に行って、効果を上げている」(内田、2008)ことを恥ずかしながら知りませんでした。
このことについては、下記の内田さんによる著書に詳しく書かれています。
また、名古屋市のような都市域やその周辺地域以外の、いわゆる過疎地域や中山間地域でのため池保全・活用の事例についても、近年の豪雨災害等を受けて事例研究等が推進されつつあります。特に、学際的な研究として、下記の研究グループによる研究成果に注目しています。
- 木村匡臣・渡部哲史・西原是良・中村晋一郎・乃田啓吾・田中智大・辻岡義康:中山間地域の持続的治水・利水戦略に向けた学際的取組み (小特集 中山間地域の将来を見据えて)、農業農村工学会誌 86(11)、pp.981-984、2018
「地先の安全度マップ」(滋賀県における流域治水の取り組み)について
流域治水に関する先駆的な事例として、滋賀県の取り組みが挙げられます。
同県では、自宅などの自分が知りたい個所の浸水等に対する安全度を「地先の安全度マップ」として公開しています。
このマップは、県の防災情報マップの一つとなっており、さまざまな情報が一元的に整理されていて、とても見やすいものになっています。
2021年4月9日に、土木学会から、「豪雨激甚化と水害の実情を踏まえた流域治水の具体的推進に向けた声明」が提示されました。その中で流域治水の推進のためには「多段階リスク明示型浸水想定図」の作成を急ぐことが重要、とのメッセージが出されています。「地先の安全度マップ」はその先駆け的なものではないかと思います。
滋賀県の取り組みに関する内容や、地先の安全度マップの作成方法などは、下記のサイトや資料が参考になります。
- 地先の安全度マップとは ~滋賀県の特色~
(NPOふるさと回帰支援センターWEBサイトより) - グリーンインフラ実践へ(第3回)滋賀県が先導する「流域治水」
(日経コンストラクション (752), 36-39, 2021-01-25,日経BP社) - 「中小河川群の氾濫水理解析に基づく地域防災力向上戦略の検討」
(瀧ら、河川技術論文集、vol.25、2019年6月、79-84頁) - 「中小河川群の氾濫域における減災型治水システムの設計」
(瀧ら、河川技術論文集、vol.16、2010年6月、477-482頁) - 「中小河川群の氾濫域における超過洪水を考慮した減災対策の評価方法に関する研究」
(瀧ら、河川技術論文集、vol.15、2009年6月、49-54頁)
河川の洪水浸水想定区域(国土数値情報)の図化について
国や地方自治体で公表している河川の洪水想定区域が国土数値情報のGISデータとして入手できます。
(イメージ)
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/img/A31-4.png[背景には地理院地図を利用]
データの表示方法などについては、下記のページが参考になりそうです。随時更新していきたいと思います。
- 地域課題検討のためのGIS活用(国土政策局(国土交通省))
QGIS等による浸水想定区域データの表示方法の解説書が掲載されている。 - QGIS を用いた洪水ハザードマップ作成手順 - 酪農学園大学 QGIS を用いた洪水ハザードマップ作成手順
酪農学園大学 環境 GIS 研究室 本間 裕介さんが公開している資料 - 課題:既存データの地図データと属性データ
「GIS実習オープン教材」のサイト内のページ。「国土数値情報の浸水想定区域データ」の図化が課題として出されている。図化の方法は、ここから反対にたどっていけば、分かるかな。
インフラオープンデータのプラットフォーム的サイトについて
公共インフラ関係のオープンデータについて、プラットフォーム的なサービスを整理してみたいと思います。説明文は、各サービスのWEBサイトから引用(一部加筆等)しています。随時更新していきます。
- 国土交通データプラットフォーム
国土に関するデータ、経済活動に関するデータ及び自然現象に関するデータを検索、表示、ダウンロードすることができる。 今後、各種データとAPI連携し、データ連携を順次拡大していく予定、とのこと。一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が運用している。 - G空間情報センター
様々な主体が様々な目的で整備している地理空間情報(=G空間情報)の有効活用と流通促進を図ること、また社会課題を解決するアクターの後方支援を行うためのデータ流通支援プラットフォーム。利用者が必要となるG空間情報や関連する情報がワンストップで検索入手できるサービスを提供するほか、研究開発やデータキュレーションなど、イノベーション創出に向けた事業を展開している。一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が運用している。 - Project PLATEAU
国土交通省が進める 3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化 のリーディングプロジェクト。都市活動のプラットフォームデータとして 3D都市モデルを整備し、 そのユースケースを創出。さらにこれをオープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市のデータを引き出し、活用できるようになることを目的としている。
流域治水とグリーンインフラ、それからオープンデータと電線
久しぶりに書きます。
最近、土木インフラの防災分野などで、キーワードとなっている流域治水とグリーンインフラ。
下記の記事などが勉強になります。
- グリーンインフラと流域治水 滋賀県立大学 瀧准教授の資料
(社会資本整備審議会・交通政策審議会環境部会・技術部会 第2回グリーン社会WG 2021年3月19日 資料2-5より) - 流域治水とグリーンインフラ 土木研究所 中村圭吾さんの記事
- MIZUBERING 公共越境力養成講座<Day6>「どうなの?流域治水」やらされるを超えて自ら、楽しく、やりたくなることへ(上記のお二方を交えてトークをされてます。面白い!)
そして、オープンデータ。国や地方自治体からもいろいろなプラットフォームやデータ整備が進んでいますが、果たしてどんな風に利用していったらいいのか。勉強してみたいと思います。
これについては、宙畑の最近の記事が面白いかな。
ところで、全然関係ないですが、近所の電線。詳しくは下記の本が面白いです。
電柱鳥類学: スズメはどこに止まってる? (岩波科学ライブラリー)
ブラアイチで二川散歩!
ブラアイチに参加しました。長女は吹奏楽の全国大会参加のため、今回は、家族三人で参加。
天気もよくて、たくさん歩けて、勉強にもなってとてもよかったです。関係者の皆様、コロナ禍の中お疲れ様でした。ありがとうございました!
血糖値の方は特に変化なし。HbA1Cも5.9%で良好(12/2)。
ただ、最近インスリンに少し慣れてきて、食前に何回か打ち忘れ。いずれも食事中か直後に気づいて慌てて打つことがありました。それから、寝る前に持続性のトレシーバを打たなければならないところを、超速効性のヒューマログを打ってしまうことが2回ほど。そのときはしょうがないので、少しご飯を食べたり、甘いものを飲んだりして特に低血糖にはなりませんでしたが、気を付けようっと。
明日は会社の管理職研修です。早く寝ます。